鶴見
「鶴見に住む人は、食べるときも、遊ぶときも、あまり鶴見から出ようとはしないんですよ」とは、JR鶴見駅駅前の老舗中華料理店「翠華楼」の芳川さんの談。なぜだろう。実際鶴見は、神奈川の二大中心地、JR川崎駅とJR横浜駅の中間に位置し、そのどちらへも電車を使えば短時間で行ける。東京へもすぐだ。国道15号も走り、車で都心までのアクセスも問題ない。そうした立地を目的に、鶴見に移り住む人も多いと推測できる。
だがどうやら、鶴見にしばらく住むと、鶴見という街で全てを完結させようとするようになる――そういう住む人をひきつける力が、鶴見にはあるようだ。その要因の大きな部分を占めるのが、これまで鶴見という街を支えてきた、鶴見の老舗店や施設たち。前出の「翠華楼」を初め、ビール工場、スーパー銭湯、スポーツクラブ…鶴見の街で長年培った“鶴見オリジナル”の魅力が凝縮している。一方、今、鶴見にはニューショップが続々と出店し、新たな“鶴見オリジナル”を作り上げようとしているのだ。そのどれもが都心の人気店とは一線を画す、その店独自の個性を発揮し、鶴見の人にとどまらず、多くの人を惹きつけているのだ
おそらく「翠華楼」の芳川さんは、旧来の“鶴見オリジナル”を指して、冒頭のように語ったのだろう。だが、新たな“鶴見オリジナル”が加わった今、ますます鶴見の人がこの地にとどまり、この地を楽しむ傾向は強くなりそうである。少なくとも、新たに住む場所としては、たまらない街といえる。