世田谷区の西側に位置する三軒茶屋は“三茶”の愛称で呼ばれる区内を代表する繁華な商業地だが、周辺の若林や太子堂、下馬などを含むエリアは住宅地としても人気が高い。その中核になっているのが東急の田園都市線と世田谷線の三軒茶屋駅だ。田園都市線は渋谷まで約5分で直結し、その先は東京メトロ半蔵門線と乗り入れ都心へのアクセスも極めて便利だ。世田谷線は始発駅で路線は区内を横断し、約20分で京王線の下高井戸駅と結ばれている。三軒茶屋駅は国道246号と世田谷通りの分岐点にあり、駅に直結して地上26階・地下5階・高さ124mのキャロットタワーがランドマークのようにそびえている。このビルには演劇や舞踏などの舞台芸術のための世田谷パブリックシアターやギャラリー、講演会の会場に使える生活工房と、オフィスや商業施設のフロアーや最上階には展望ロビーもあり、1階が世田谷線の駅になっている。
三茶エリアには美味しいレストランやハイセンスなショップ、カフェなどが点在し“お洒落な街”のイメージがあるが、駅周辺には個性的な商店街がいくつも集中している。スーパーやディスカウントショップのある通り、鮮魚や野菜、精肉店、総菜店などが軒を並べる庶民的な商店街もある。なかでも国道246号と世田谷通りに挟まれた三角地帯へ踏み込めば、路地が入り組み飲食店や衣料品から雑貨などさまざまな店舗がひしめき、映画館や釣り堀、バッティングセンターまである一画だ。戦後の闇市がそのまま商店街になった場所で、昭和レトロの面影を色濃く残している。
世田谷通りは奈良時代から東国と畿内を結ぶ主要道だった古い歴史があり、江戸時代に東海道が整備されると脇街道となった。江戸中期になると丹沢山塊のひとつ大山の阿夫利神社へ参拝する大山詣が盛んになると近道の用賀、二子を抜ける新道(現在の国道246線)ができ、両道は大山道と呼ばれた。その追分(分岐点)に三軒の茶屋があったことが地名の由来で、大山道碑が分岐点近くの田園都市線三軒茶屋駅入口に建っている。ほかにも江戸時代の代官屋敷や吉田松陰を祀った松陰神社、江戸五色不動のひとつ目青不動尊で親しまれている教学院、太子堂の地名になった聖徳太子を祀った円泉寺、自伝小説「放浪記」で知られる林芙美子が暮らした二軒長屋など歴史を伝える場所は多い。