茅ヶ崎という地名を聞き、真っ先に思い浮かぶ言葉は、湘南。サザンオールスターズ・桑田氏ゆかりの地であることも手伝い、近隣の藤沢、鎌倉に引けを取らないほど、茅ヶ崎は湘南の一部として、市民権を得ている。
だが、おそらく実際降り立った人は分かると思うが、一般的なイメージほど、この土地は湘南らしくない。
サーファーが年中街を行き交う景観、常に漂う海の香り、海辺の街ならではの日の光が降り注ぐ開放感溢れる住宅街…確かにそうした湘南を象徴する風景、匂いがこの街にはあるのだが、藤沢、鎌倉のような分かりやすさ――いわゆるテレビドラマや映画のワンシーンとして出てくるような風景――があるわけではない。条件が揃っているだけで、正直湘南の度数(?)は、さほど高くないのだ。
それでも茅ヶ崎を愛する人は多い。わざわざ都内から茅ヶ崎に頻繁に訪れたり、自らの居を構えたり――それはやはり、いわゆる湘南的なイメージのほかに、この街にしかない魅力が、紛れもなくあるからだ。
ほど良く整備された茅ヶ崎の海辺は、夏は海水浴客でごった返すものの、それ以外のシーズンは常に平穏な静けさを湛え、散歩やジョギングに最適な場所。その海辺から駅までの駅南口一帯は、海辺の街ならではの開放感の中に、どことなく風格、品が漂う。近年はその雰囲気に合わせ、独自のセンス溢れる飲食、雑貨ショップが続々と誕生している。そして意外かもしれないが、茅ヶ崎には、緑が多い。特に駅よりも北側一帯。都心では考えられない豊かな自然が広がり、樹木や草花独特の清らかさ、爽やかさを感じさせる。こうした様々な要素がとてもコンパクトに、使いやすくまとまっている――それが茅ヶ崎という街なのだ。
かつて茅ヶ崎に住んでいた人は語る。「茅ヶ崎に流れる時間は、すごくゆったりしているんです」。それはこの街の独自性を、最も良く象徴している言葉といえよう |